活動のベース
現在、人間の生活圏におけるCO2濃度を公開しているデータベースは存在しません。このため、国内外の個人や法人の協力を得て、独自の観測網を構築しました。この網では、測定装置を設置し、インターネットを通じてデータを取得・公開しています。
私たちは、地球全体の平均CO2濃度や国全体の削減目標といった実感の湧きにくい数値ではなく、自分の住んでいる地域の濃度が火力発電所や日照時間(森林での光合成)の影響を受けて変動していることを示す測定値を用いて、さまざまな環境学習の場で紹介します。これにより、節電や森林保護の重要性を実感し、地球温暖化を自らの問題として捉え、積極的に解決していく意識が高まります。
気象庁の観測点は、南鳥島や与那国島など人間活動の影響を受けにくい場所に設けられていますが、これは地球全体のCO2濃度を計算する観測点として適さないためです。私たちは、前述の目的を達成するために、あえて人間の生活圏に観測点を設ける必要があります。
近年の海水温上昇は、魚種や漁獲量、藻場、さらにはノリやカキなどの養殖業にも影響を与えています。気候変動に対する備えや適応策が必要とされていますが、実際の現場で海水温測定が十分に行われていないため、低廉な測定装置の開発と技術サポートを背景に観測網に海水温の測定を加えました。
気候変動は自然要因(太陽活動、火山活動など)と人為的要因(温室効果ガスの排出など)による長期的な変化であり、海の変化やCO2濃度の増加が互いに影響を及ぼします。このように事象が複雑であるため、現場のデータだけでは課題解決が難しいのが実情です。また、仮に現場で広域のデータを収集できたとしても、高度な解析技術が必要であり、的確な分析ができないことが課題です。
私たちは、市民参加型モニタリングを通じて現場と研究者の連携を強化し、データの共有と活用を促進することで、より効果的な課題解決を目指しています。この取り組みを市民の皆様にも理解していただくことが取組の相乗効果となることを期待し、さまざまな環境学習の場で情報を発信しています。
本観測網では、CO2濃度や海水温のほか、気温、湿度、風向、風速などの20種類の情報を扱います。測定装置は、本取り組みに共感いただいた方にご用意いただくことを想定しており、設計を公開するとともにAPIを通じて観測網と接続することで、市民参加型のモニタリングシステムを実現しています。
システム開発・改良は、事務局のボランティアスタッフと国内遠方のIT専門家がインターネットを通じて行っています。co2sosはメタバースに事務所を構え、そこでCO2濃度の公開や音楽ライブ、デジタルアート展など多様なイベントを開催しています。これにより、様々なスキルを持つ専門家と広くネットワークを築き、協働しています。
また、メタバース内でのイベント運営や、サイピアを再現したバーチャル科学館の建設、研究活動における研究指導のサポートも、協力者の手を借りて進めています。このようなインターネットを介した独創的な協働モデルは、co2sosのような小規模団体が活動を拡大・充実させるために極めて有効です。今後は、このノウハウを他団体にも提供していくことを考えています。
さらに、大学との共同事業計画も結んでおり、専門的な知見やリソースを活用することで、より効果的な取り組みを推進しています。
環境学習
毎年1回、小中学生を対象として次に示す内容を基本に実施しています。大学生を議論のファシリテーターや実験指導者として配置し、企画・運営にも参画いただいています。また、オンラインエコ教室による海外の小中学生や大学生との協働にも取り組んでいます。
ドライアイスの昇華実験:ビニール袋の中でドライアイスを昇華させてCO2の重さを体感する実験
CO2グラフを読む:本法人の観測網によるCO2濃度測定結果のグラフを見て、変化の要因をグループごとに考察・発表
温暖化のメカニズムを知る:地球温暖化メカニズムの説明
バーチャル科学館※:地球温暖化メカニズムの説明
メタバースを活用することで、現実世界では実現困難な例えば宇宙から地球上の1年間のCO2濃度の変化や植生が活動する様子を見ることができます。
また、情報技術に関心を持ったり情報技術が社会課題の解決に有効で会ったりすることを実感することができます。